家庭でも出来る!本格そばつゆの作り方

市販品の濃縮そばつゆには、コクや旨みが少ないことをご存知でしたか?その理由は、鰹節のダシの量が少ないからです。
鰹節を入れると風味が出て美味しいのですが、日持ちしなくなります。そのため、市販品はダシの量を減らし、代わりに塩分を多く含めているのです。
しかし、塩分が多いと日持ちしやすくなりますが、塩分のとり過ぎには健康によくありません。家族に、塩分の多いつゆを飲ませてたくないですね。?

本格そばつゆなら、鰹節のダシを使っていますので、市販品よりコクや旨みが凝縮されています。
塩分もほどほどですので、健康面でも喜ばしいそばつゆなのです。
『本格』と紹介していますが、作り方はシンプルですので、誰にでも簡単に作ることができます。
むしろ、鰹節を使った『本来のそばつゆの作り方』といえるかもしれませんね。市販品と比べれば、栄養素の差も一目瞭然です。
本格そばつゆに含まれている栄養素をみれば、きっとその魅力に気づくはずです。

それでは最初に、そばつゆに含まれている栄養素を説明し、その後、本格そばつゆの作り方を紹介していきます。

そばつゆの栄養素

【醤油】
・食欲増進作用:胃の分泌を促し、消化・吸収を助け食欲を増進させます。
・殺菌作用  :醤油には殺菌効果があり、肉や魚を醤油に浸し保存されています。
・血圧降下作用:血圧を下げるヒスタミン吸収促進成分が含まれています。
【味醂】
・アミノ酸  :アミノ酸が多く含まれ、筋肉を作るのに欠かせない栄養と疲労回復に効果があります。
・炭水化物  :エネルギー源となる栄養で不足すると倦怠感やめまいなどの症状を引き起こします。また、脳のエネルギーとなる栄養素でもあります。
【白ざらめ】 :高カロリーで、砂糖として純度が高く、ビタミン・ミネラルの成分も高いです。
【三大うま味成分】
・グルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸は三大うま味成分と言われています。
【美味しさ】
・味、匂い、食感のほか、雰囲気や体調などの要因に影響されて感じるもの。
【うま味】
基本の味五つ(甘味・酸味・塩味・苦味・うま味)の一つで独立した味を示す呼び名です。

【昆布】

・主な栄養成分 : カルシウム・食物繊維・脂質。
・グルタミン酸:人体の20%はタンパク質でできており、タンパク質は細胞の主成です。体をつくるのに体内で自然とグルタミン酸を合成するシステムを持っています。
・その他、グルタミン酸の含まれる食材
・こんぶ、セロリー、玉ねぎ、ニンジン、白菜、ネギ。
【鰹節】
・主な栄養成分:ビタミン、必須アミノ酸、タンパク質、ミネラル、脂質、
イノシン酸、ペプチド。
・イノシン酸 :核酸を構成する成分の一つ。人の体内では毎日細胞が生まれ変わっています。細胞が生まれ変わるときに欠かせないのが核酸です。
・その他イノシン酸の含まれる食材
・かつお節、肉、鶏。
【干椎茸】
・主な栄養成分:食物繊維、カリウム、ビタミンD、葉酸。
・グアニル酸 :ヌチレオチド構造を持つ有機化合物の一種です。
・その他グアニル酸の含まれる食材
・乾燥ボルチーニ、のり、ドライトマト。

まとめ

このように、そばつゆにも色々な栄養素が含まれています。そして、それぞれの栄養素や旨味成分が混合し、食べたときうまいと感じることができるのです。

市販濃縮めんつゆ(1ℓ400円)の内容を見ると、昆布エキス・かつお節エキス・椎茸エキス他いろいろなエキスが入っていますが、本格的なそばつゆとは各エキスの内容と濃度が違います。
各食材を時間と手間をかけエキスを出しているので、どうしても市販の濃縮めんつゆとは旨味やコクでは差が出てしまいます。
もし、メーカが同じ条件で作った場合1ℓ400円では出来ないと思います。
なので、ダシの量を減らし塩分を多くし日持ちを良くしているからなのです。

手作りのつゆは多少割高にはなりますが、健康にもよく美味しいそばつゆで、おそばを家族みんなで食べてみてください。

本格そばつゆの作り方

家庭でも簡単にできる、本格そばつゆの作り方に入ります。
最後に、某有名店のつゆレシピも掲載しますので参考にしてください。

そばつゆには、おもに2種類あり、冷たいそば用の「辛汁」と温かいそば用の「甘汁」がありそれぞれ仕込みが違います。ぶっかけ用のつゆとなればまた違います。

この2種類のつゆの元となる「かえし」醤油、砂糖、味醂を混ぜ合わせた混合調味料で「本かえし」「生かえし」「半生かえし」があり、それぞれの違いは、醤油を加熱するかで決まります。今回は、「本かえし」を紹介します。

かえし

材料
醤油 ・・・・・・ 1.8ℓ (品質の良いもの)
味醂 ・・・・・・ 250cc(本みりん表示のもの)
砂糖 ・・・・・・ 280g (白ざらめ・白砂糖)

醤油 900ccの場合
醤油 ・・・・・・ 900cc
味醂 ・・・・・・ 125cc
砂糖 ・・・・・・ 140g

作り方
1 みりんを火にかけ、アルコール分をとばします。
2 白ざらめを入れ、木のへら等でざらめが溶けるまでかき混ぜます。
3 ガムシロップ状になった鍋の中に醤油を注ぎます。この時、醤油を沸騰させないよう気をつけます。
4 醤油を入れ温めるとアク、灰汁が出るので丹念に取ります。
5 灰汁を取り終えたら、ホーロー、陶器など耐熱容器に入れ、2週間以上冷暗所で寝かせると、角がとれて、まるみのある味になります。

※・この状態で1年は持つと言われていますが、半分または三分の一くらいになった時点で付け足しすると効率が良いです。
・「かえし」は、ほかの調味料としても使用できます。
例)うどん、そうめん、ひやむぎのつゆ。煮物の味付けなど。

辛 汁

材料
昆 布 ・・・・・・ 10g(グルタミン酸)
本枯節 ・・・・・・ 25g(イノシン酸)
宗田節 ・・・・・・ 25g(イノシン酸)
椎 茸 ・・・・・・  0.8個(グアニル酸)
水   ・・・・・・ 1ℓ
かえし ・・・・・・ 1ℓ:だし汁 3.5ℓ~4ℓ

作り方
1 鍋に水を入れ、昆布・椎茸を入れます。約8時間浸します。
2 中火で煮て、昆布からアワが出てきたら昆布と椎茸を取り出します。
(80度位)
3 削り節2種類を入れ20~30分くらい煮ます。決して沸騰させないようにします。アクが出るので丹念に取ります。あめ色になったら出来上がりです。
4 出来たつゆをこし布で漉します。
5 漉したつゆを計測し鍋に入れます。熱いうち、かえし1:つゆ3~4の割合で混合します。
(最初に計測した水は、最終段階で蒸発または昆布やしいたけに水分が取られ数量が減ります。なので、でき上がったつゆは正しく計測し、はじめは、つゆの4分の1かえしを入れます。)
6 鍋に火を入れ沸いたら終了です。(つゆの温度が下がってから、味見をしながら少しずつかえしを足します。ちょうど良い時、かえしの比率を記録します。次回からはこの比率で作りことができます。)
7 1日おきに火を入れ、これを2回行います。

※ かえしの入れる割合は、個人の好みで変更してください。塩分濃度計を使用すると効果的です。できた「辛汁」は冷蔵庫で一週間くらいは持ちますが早めに使用しましょう。
多めに作った時は冷凍保存し、解凍し使用します。

甘 汁

材料
昆布  ・・・・・・ 10g
鯖節  ・・・・・・ 25g
水   ・・・・・・ 1ℓ
かえし ・・・・・・ 1ℓ:だし汁 7ℓ~9ℓ

作り方
1 鍋に水を入れ、昆布を入れます。約8時間浸します。
2 中火で煮て、昆布からアワが出てきたら昆布を取り出します。(80度位)
3 鯖節を入れ、20~30分くらい煮ます。決して沸騰させないようにします。アクが出るので丹念に取ります。
4 出来たつゆをこし布で漉します。
5 漉したつゆを計量し鍋に入れます。熱いうちかえし1:つゆ7~9の割合で混合します。
(最初に計測した水は、最終段階で蒸発または昆布や鯖節に水分が取られ数量が減ります。なので、でき上がったつゆは正しく計測し、はじめはつゆの9分の1かえしを入れ、味見をしながら少しずつかえしを足します。ちょうど良い時、かえしの比率を記録します。次回からはこの比率で作りことができます。)
6 鍋に火を入れ沸いたら終了です。

※ かえしの入れる割合は個人の好みで変更してください。なお、塩分濃度計を使用すると効果的であります。
できた「甘汁」は冷蔵庫で一週間くらいは持ちますが早めに使用しましょう。多めに作った時は冷凍保存し、解凍し使用します。

次の表は、某そば店、5店舗の「かえし」と「辛汁」を紹介しますので参考にしてください。
なお、かえしの醤油は1.8ℓで統一し、計算しました。

まとめ

このように、そばつゆの中にも体に良い栄養素もたくさん含まれています。栄養成分を理解することにより、これからそばを食べるときには、より健康な食品として楽しんでいただけると思います。
また、そばつゆは、材料の種類などの影響により微妙に変化します。各個人の味覚の違いがいもあり何回か試してみて、自分にあった食材を見つけてください。

なお、自分でそばを打ってみたい人は、「そば段位認定会の道」のページへ
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