そば猪口

お店でそばを注文するとき、季節や気温により冷たいそばや温かいそばなど選びますが、その他種類も多く悩むところです。

その中で冷いそばには,もりそばやざるそばがありますが、そば猪口はなくてはならない器です。このそば猪口に関する内容を紹介します。

由来について

猪口は正しくは「ちょく」と読みますが「ちょこ」とも呼ばれます。語源は朝鮮語の鐘(湯飲み風の焼き物)の音(チョンク)とする説もありますが、定説はないようです。いずれにしろ、猪口の漢字は当て字と言われています。

また、猪口の「猪」はイノシシと書きます。お猪口を横にしたとき、イノシシの頭の部分に似ているので付けられた説もありました。

猪口は一般的には磁器で、最初に焼かれていたのは九州の有田窯で朝鮮人陶工により磁器が焼かれていたようです。
江戸時代の初期元和年間(1615~1624)(江戸時代は伊万里焼きと呼ばれていた)猪口が焼かれたのは、それから数十年後と推定されます。

現在「そば猪口(ちょく)」と呼ばれているのは、口径5cmから8cm位のコップ形の器です。この形の器は江戸時代から見られますがさまざまな用途に使われていました。

もともとは、料理を入れる器だったのが、麺類の普及にともなってつけ汁用の器としての用途が代表的なものとなってきました。

時代別

「そば猪口は」備前の地域でつくられた染付の磁器製のものが圧倒的に多いです。以下時代を追って紹介します。

江戸前期(1700年~1750年)
そば猪口は18世紀に入ると磁器製品の大衆化にともない、大量に生産されたようです。
18世紀前半の特徴としては、口縁にいくほど開き気味になった朝顔形が挙げられます。この時代の製品は比較的つくりが丁寧で、素地は薄手ですが底部は厚めになっています。

江戸中期(1740年~1780年)
この頃になってくると、そば猪口の口径と底経の差が小さくなり、現在のコップに近い形となります。
18世紀前半と比べると素地がやや厚手の作りものが多くなります。さらにこの頃になると蛇の目凹形高台と呼ばれるものが現れます。

江戸後期(1780年~1820年)
この時期に入ると高台が高く、口縁が少しそり気味の特徴ある形をしたそば猪口が現れます。
これは当時生産されていた広東形碗の影響だと考えられています。
また、この広東形のそば猪口の見込みには、「火焔宝珠(かえんほうじゅ)」と呼ばれる放射状の文様がよく描かれています。
これも広東形碗に見られる文様です。19世紀に入ると線描きだけで文様を表した「素書き」装飾が流行します。

そば猪口の活用

名前の通りそばを食べるための器として生まれた食器ですが、そば猪口をそば以外での活用する人も多いです。ヨーグルト、プリン、おひたし、漬物等色々な器として活用されています。

今から約15年位前、ある道の駅でそばを食べました。その頃そば打ちは行ってはいなく食べるのが好きでした。帰りに気に入ったそば猪口を見つけたので購入しました。
これが最初のそば猪口の出会いでした。そして、各地を廻ったとき、気に入ったのがあれば購入しました。

その後、手打ちそばを習い始めるとよりそば猪口に興味を持ち、各大会や本州等旅行に行ったときなど探し集めるようになりました。
ただ、闇雲に集めるのではなく本当に気に入ったものだけ選びましたが、
それでも現在15個ほど集まったでしょうか。

さて、このそば猪口をどのように収納するかでした。最初、数の少ないうちは何とかなりましたが段々数が多くなるにつれ困りました。日常の食器棚にはスペースがなく普段使用する器の邪魔になります。
ダンボールに収納すると、毎回の出し入れも面倒ですが何より絵柄が見えないのが残念です。そこで専用の収納棚を作ることにしました。

まず、材料を選びデザインを考え一番大事なのは寸法です。完成後、大きすぎや狭かったなどで作り直すのが嫌なので慎重に考えました。一個一個微妙にサイズが違い並べた時のバランスなど考慮し製作し完成しました。

私のそば猪口は高級なものはありません、まして骨董的なものもなく自分で気に入った絵柄だけ収集しています。でも皆さん、骨董店などで蛇の目高台のそば猪口を見つけたときはお宝なので購入したほうが良いと思います。

最近、このそば猪口をそば以外に使用できないかと考えているうち新しい発見をしました。
それは、コーヒーカップとしてもちょうど良く温度も冷めにくく重宝しています。気軽に使用できて使いかってが良かったです。

つぎに、日本酒を入れて飲むことを発見しました。
酒用のお猪口では小さくて忙しく、湯呑茶碗やコップでは何か味気なく感じていました。
その点、そば猪口は熱燗でも冷酒でもいけます。見た目は小さくても大きめのサイズは一合も入ります。

最近はそば猪口で飲む日本酒にはまっています。特に冷酒は最高ですね。でも飲みすぎに注意しましょう。

まとめ

街の蕎麦屋さんでは、お店にそば猪口を展示しているところがよくありますが。京都駅のあるそば屋さんでは、店の外壁に沢山のそば猪口が展示されていました。それは見事で、しばらく見入ってしまったことがありました。

そば猪口を、個人で趣味や骨董として収集している人も多いと思いますが、やはり管理が大変でお金もかかります。見ても楽しく、食器としても使用出来るので、気楽に利用してみてはいかがでしょうか。